デジタル化による
スマートファクトリーを実現させる

現在も多くの課題を抱える日本社会は、2040年に経済を維持することができているのか。
その時に、日本の産業の根幹である製造業は運用することができているのだろうか。
日本は長い間、経済大国としての地位を築いてきましたが、現在では人口減少と高齢化が進行し、労働力不足が深刻な問題となっています。これらの問題が製造業に与える影響も大きく、企業の生産性や成長に制約をもたらすと考えられます。
また、労働力不足となる他にも後継者不足や技能承継難、デジタル・グローバル人材の不足など「必要」とされる社会的な需要に対応できなくなってしまうことが懸念され、これらの解決手段を検討することがこの先の20年間、製造業を持続していくために急務となると思われます。逆に言えば、これらの対応を行なうことができない場合、2040年に現在のような運用をすることはできないでしょう。

では、解決する手段とはなにか。
2040年までに製造業が変化するべきポイントを3つ挙げたいと思います。

1つ目は、「技術の進化と自動化」です。
新たな技術の導入や自動化を積極的に行なっていくことが重要な要素になるのは間違いないでしょう。AIやIoTなどの技術は日々発展しており、それらを活用していくことで生産プロセスの効率化や生産性の向上が期待できます。従来の製造方法や人々の働き方を根本から見直すことで、最小限の人材で運用できる体制を構築する必要があります。
これまで熟練の作業者が経験と勘に基づいて行なっていた判断を、あらゆるデータを蓄積したシステムにスイッチすることで熟練者に頼る必要がなくなり、ヒューマンエラーも防ぐことができるようになります。
また高齢者が使いこなせるデジタル技術の開発も重要になると思います。それは、シンプルで直感的なインターフェースや明瞭なアイコンなど、高齢者に配慮したデジタル化を進めることで労働力の不足をカバーすることができます。

2つ目は、「教育、技能伝承」です。
AIやIoTなどの技術を取り入れていく上で、人材の教育や技能伝承の重要性はより一層高まると思います。
AIや自動化の進展により、従来の業務が変化することで、新たな技術や生産プロセスに対応できる熟練した労働力が求められます。
そのために、教育体制の改革が必要とされ、STEM教育やデジタルスキルの普及を企業で行なっていくことが有効だと思います。
具体的には、動画やVRを活用した技能伝承、高齢者に対するサポート体制などです。
次世代を担う若者に対しては、動画やVRなどの技術を活用した技能伝承を行うことで効率的にスキルを伸ばしていくことができます。一方で、高齢者に対してはデジタル活用のサポートやトレーニングを行うことで、若者への技能継承や生産性向上を推進することができます。

3つ目は、「持続可能な製造へのシフトとグローバルな競争力」です。
環境問題の深刻化や持続可能性などへの関心が高まり、製造業においても大きな変革が求められるようになりました。エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用、廃棄物削減など、環境負荷の低い製造プロセスや製品が求められています。その他にも、資源の有効活用やリサイクルが促進されています。
これらに対応することで、企業の社会的責任を果たすだけでなく、グローバルな競争力にも繋がると考えます。新興国の台頭やグローバルなサプライチェーンの構築、貿易の自由化が進む中で、グローバルな競争に参加することは避けられず、日本の製造業では高品質な製品、高付加価値サービスの提供が重要となるでしょう。

2040年、日本の製造業が生き残るためには、変化を恐れず実行していくことが重要だと考えます。