更新日:2023.5.25
NAVINECTはさまざまな外部サービス・デバイスと連携できる拡張性が特徴です。例えば、装置から収集した情報を見える化するNAVINECTパッケージ「生産監視」ではネットワークカメラと連携することが可能です。 装置からの信号や情報はデジタルデータとして見える化できていますが、動作や状態のようにデジタルデータで表しにくいものは動画にすることで有用な情報として扱うことができます。NAVINECT「生産監視」に映像を加えることで「今の現場はどうなっているのか」「過去に何が起こったのか」「細部や周辺はどうなっているのか」をより多角的に捕捉できるようになります。 ネットワークカメラは高圧縮・低遅延・高い接続性が特徴の株式会社ティ・エム・エフ・アース社製カメラシステムを採用しています。本インタビューでは、株式会社ティ・エム・エフ・アース代表取締役社長斎藤浩氏にNAVINECT連携に込めた思いを伺います。
「高画質」「低遅延」な画像で遠隔監視を実現する
- はじめに、御社について教えてください。
世界で初めてLTEでテレビ放送並みの画像をリアルタイムで送れる技術を持った会社ですよ、という言い方をします。
テレビ中継などの用途で放送業界の方ともお話をさせていただいて、この画質と遅延ならすぐ使えるねとびっくりされています。
例えばテレビで衛星通信を使うと6~10秒の遅延が発生します。それが我々だと0.5秒で送ることができます。
- 貴社製品にはその技術が使われている。では「LINK VIEW DX」はどのような製品でしょうか?
固定カメラです。画質を優先する作りになっており、設備の遠隔監視などで実績があります。
固定カメラ「LINK VIEW DX」
「途切れない」ウェアラブルカメラは遠隔支援に
- 「LINK EYESウェアラブルカメラ」について教えてください。
通信が途切れないことを特徴としたスマホ形状のカメラです。例えば、現地でトラブルが起きたときに現地スタッフが撮影しながら本部の有識者に指示を仰ぐ。そうすると一番大切なことは、現場の状況を途切れず、鮮明に伝えることです。したがって電波状況に応じて、接続を最優先にしながらも、見せたい場面では、現場状況を鮮明に映す作りになっています。
例えば電波環境が悪い場所では、250kbpsに設定することで、移動によって動画の配信帯域が大きくなった場合でも、設定した帯域サイズに応じて、画像の情報量を間引くことで接続を担保し、見せたい場所では停止することでデータ容量を下げて鮮明な映像を送信することを実現しています。
通信環境の良い場所では、動画伝送設定サイズを750kbpsに設定すると、移動時も鮮明に動画を伝送することができます。
スマホタイプ「LINKEYESウェアラブルカメラ」
特徴は圧倒的な高精細・低遅延・高い接続性
- ティ・エム・エフ・アース社製品の技術・製品の特長は何でしょうか?
高精細・低遅延・常時接続です。
高精細と低遅延については、実物と遜色ない鮮明な映像を、他社比較最大1/50のデータサイズに圧縮、0.5秒の低遅延を実現します。
ネットワークカメラだと、エンコード、通信、デコードでそれぞれ処理時間が必要となり、ネットワークを介さないカメラに比べて遅延が発生しやすくなります。圧縮をかけていればなおさらです。
しかし、高速で機械が動いていたり、秒単位で状況が変わるような製造現場で数十秒遅れた映像を使うということは、致命的な事態を招きかねません。
また、スマホタイプのLINK EYES ウェアラブルカメラは目視に近い映像を99.9%の高い接続性で維持します。
スマートフォンで近接撮影すると通常はどうしても歪みが出てしまいますが、LINKEYESウェアラブルカメラでは歪みを補正して人が見たままの映像を送ることができます。これは手元の細かい部分を共有する際に非常に重要な要素です。
また、重要な内容だから動画を遠隔で共有するわけで、それが途中で途切れたり、フリーズしたりでは業務に重大な支障が出てしまいます。
このように、実際に使う上で何が重要なのかを考えて開発してきました。
- 映像の圧縮がもたらす効果は経済面もあるのだとか。
映像を使うときのコストのほとんどは通信費と保管にかかるコストなので、データサイズを小さくすることはお客様にとって圧倒的なコスト削減になります。
LINK VIEW DX、LINK EYESともにLTEを使用しますから、これを十分に圧縮せず送り続けると莫大な通信費がかかってきますし、動画を保管するストレージコストも非常に大きくなります。
これが、例えば帯域を1/10にして鮮明な動画が送れれば、利用帯域やストレージ利用を1/10に削減でき、それにより、通信費、ストレージコストに加え電気代、排出する二酸化炭素も大幅に削減できます。LTEを使うことで現場に有線ネットワークを敷設するコストもかかりません。
これらが統合され、システム全体のTCOが圧倒的に改善でき、ベストのROIを実現できます。
- LINK VIEW DX、LINK EYESともに御社の技術がふんだんに使われているのですね。
映像を無線でスムーズに飛ばすには考慮しなければいけないポイントがいくつかあります。当然ノイズを取るというのもありますし、光の関係もある。ただデータを削るのではなく、カメラや通信のすべてのパラメーターを払い出して、組み合わせながら、最適値を導き出すということをしてきました。
また、用途によって「使える」映像はそれぞれ違うわけですから、それによって使う技術や設定を最適化しています。
NAVINECTと連携し、お客様の遠隔業務を支援
- 装置から収集した情報を見える化するNAVINECTパッケージ「生産監視」との連携をスタートしました。
生産監視ではリモート&リアルタイムに状態を監視して異常を見つけられる。その問題解決ができるのは映像だと考えています。
イメージは多くの情報を瞬間的に伝えることができます。熟練工になるほど「今日雰囲気違うよね」ということが分かるでしょう。また、原因を追究するときにも映像を見ながら判断する、ということができます。
そうすると、例えば有識者を遠くの現場に派遣せずとも現地のエンジニアと連携を取りながら業務を行うことができます。
- 御社の製品をNAVINECT生産監視のパッケージと連携して活用することで、お客様の遠隔監視を更に効果的に支援し、生産性の向上が図れますね。
現地に行かないで映像を使って課題解決をできると生産性がものすごく上がります。
これまで1日かかっていたものが1~2分で終わる。
弊社とトッパンさんのシナジーによって、NAVINECTの価値も向上できたのではないかと考えています。
NAVINECT「生産監視」
生産装置や設備の稼働情報を収集し、管理画面上にグラフィカルに表示。
ネットワークカメラと連携すると管理画面上のカメラアイコンをクリックすることでカメラ映像を確認できるほか、異常発生時に録画映像を遡って確認することができます。
アラームが発出されたら、今の現場カメラを見て深刻度を見定め、現地スタッフと連携を取って対処、異常発生時の装置データや映像を確認して原因調査と再発防止を行います。
提供価値はお客様の生産性を向上すること
- これらの製品群はどのような思いで開発されたのでしょうか?
我々はDXという言葉がなかった時代に「IoTに視覚を取り入れましょう」という話を始めました。
数値や文字列のデータを取ってくることはできているが、映像は扱われていない、と分析したんですね。
イメージがあると多くの情報量を瞬間的に伝えられる。映像があることで情報量が圧倒的に有利になると考えています。
ところが映像を無線で飛ばしたいという要望はあるんだけれど、データ量がネックで思うようにできていないということが分かってきた。
できていないんだったらやるしかない、というので本格的に取り組み始めたのが5年前です。
試行錯誤の末に全部設計し直すしかないということで、各パラメーターを分解、最適化して仕様を作ってきました。
僕たちはテクノロジーオリエンテッドではなく、ビジネスオリエンテッドなんです。帯域を小さくできる技術がある、ではなく、やりたいことをやるには帯域を小さくしないといけないんだ、という発想から入っています。
DXは「誰と組むか」を考える時代に
- 最後にインタビューをご覧の皆様にメッセージをお願いします。
2023年からDXが実用化に突入していくことになります。
DXは当初、IT業界が行き詰ったからこんなの作り出したんじゃないか、という声もあった。しかし、これが膨大な価値を生み出すことにみなさん気付き始めた。
気付き始めた企業さんは「なぜデジタル変革なのか」から「誰といつ組むか」という議論にシフトしています。
その時、僕らは高圧縮・低遅延・高い接続性で映像を飛ばせる技術を持っています。それが、DXを推進する上でベストROIを実現させます。
是非我々と一緒に組みましょう、というのがメッセージになります。
開発に至る熱い思い、お客様の課題解決に向けた真摯なお考えをお聞かせいただきました。製品の詳細はぜひこちらからご確認ください。NAVINECTもお客様の製造DXパートナーに選ばれるよう、より一層努力してまいります。
NAVINECTパートナー制度について
NAVINECTでは多くの装置・デバイス・システムと連携しています。
技術提携パートナー様はこちらからご確認いただけます。
また、NAVINECTを一緒に売ってくださる販売パートナー様も募集しております。詳細はこちらをご確認ください。
株式会社 ティ・エム・エフ・アース
2007年設立。低遅延カメラシステム、IoTサービスソリューション、AIアプリケーションなどの開発・製造・販売を行う。
https://www.tmf-e.com/
代表取締役 斎藤浩 氏(左)
取締役 斎藤玲 氏(右)